空き家に、もう一度灯りを

 

島を歩いていると、雨戸を閉めたままの赤瓦の家や、庭に草が伸びた家に出会うことがあります。くめじまDMOでは今、こうした島の空き家を、旅の拠点や島の人と旅人が出会う場所として活かせないか、検討を進めています。

その参考にと、先日、沖縄本島の集落で宿泊と体験の事業に取り組む方々を訪ね、お話を伺ってきました。今回は、そこで感じたことを少しご紹介します。

「泊まる場所」が、集落への入口になる

訪ねた先では、集落の家を生かした宿を「地域への入口」として位置づけていました。泊まるだけでなく、食事や体験、集落の案内、住民の方との交流までを、ひとつの滞在として組み立てています。

山や湧き水、海、拝所といった暮らしの風景を、集落ごとの歴史や風習を大切にしながら案内するのも特徴です。スタッフの方々は地域の歴史や文化を学び続けていて、その姿勢が案内の一言一言に表れていました。

また、古い家は宿としてだけでなく、アーティストの滞在制作や展示、地域の集まりなどにも使われていました。一軒の家にいろいろな人が出入りすることで、その場所の価値がどんどん重なっていく様子が印象的でした。

お話を伺って心に残ったこと

旅人と住民を、つなぐ人がいる。
運営する側が旅人の関心を聞いて住民の方につなぎ、住民の方にも来訪の目的や気をつけてほしいことを伝えています。住民の方に「観光の対応」をお願いするのではなく、双方が安心して関われるように間に立つ。この「つなぎ役」が取組の要だと感じました。

小さく始めて、対話を重ねる。
新しいことを始めるときには、不安の声もあったそうです。それでも理解してくれる方と小さく始め、説明と改善を積み重ねてきたと伺いました。信頼が育つまでには、長い時間がかかっています。

観光の外での、日々の関わり。
スマホの使い方の相談にのったり、祭りの準備を手伝ったり。そうした日常のやりとりこそが、地域との信頼につながっているそうです。

人が出入りすると、集落が元気になる。
人の出入りが増えたことで、草刈りや清掃、並木の手入れが進み、「安心感が生まれた」という声もあるそうです。清掃や案内など地域の仕事が生まれ、移住してきた人が地域に加わるきっかけにもなっていました。

なぜ今、久米島で「空き家」なのか

久米島町の「第3次観光振興基本計画」(2024〜2028年度)が掲げる基本理念は、「持続可能な島の未来をつくる 共創ツーリズム」。島の宝を守り育てながら、島に暮らす人と訪れる人が一緒に島の未来を育んでいこう、という考え方です。

計画の中では、空き家を改修して観光や交流の場に活かすことや、古民家や集落を舞台にした体験、一棟貸しや暮らすように旅する滞在なども、取組として挙げられています。空き家の利活用は、この計画を形にしていくうえで大切なピースのひとつといえます。

空き家が活かされることで、こんな変化が期待できます。

  • 島の暮らしに触れる滞在が増え、「また来たい」「住んでみたい」という気持ちにつながる
  • 清掃や案内、食事など、島の中に小さな仕事が生まれる
  • 人が出入りすることで、家や集落の風景が守られていく

DMOは、島の観光に関わる方々と地域をつなぐ役割を担っています。視察先で見た「つなぎ役」の姿は、まさにDMOが島で果たしていきたい役割そのものだと感じました。

久米島では、これから

今回の視察で、建物を整えること以上に、家の持ち主さんやご家族、集落の皆さんと丁寧に話すことが大切だと改めて感じました。久米島でも、理解してくださる方と一緒に小さく始め、島のペースで一歩ずつ進めていきたいと考えています。

「使っていない家がある」「実家をこの先どうしよう」――そんな思いをお持ちの方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にくめじまDMOまでお声がけください。島の家に、もう一度灯りをともす方法を、一緒に考えていけたら嬉しいです。